感動したいと思ったら

時は止まることなく、ティックタックと時計は音を刻みながら私たちの日々も進んでゆく。
いろんなことに気がつかず、忙しく過ごしているとあっという間に一週間や一ヶ月、一年がたってしまうのだ。
気をつけて暮らしてみると、ベランダにキキョウが咲さいた。
などという小さな発見でもちょっと幸せになったりするが
とてつもなく大きな感動というのは日常の中で中々えられるものではない。
ただし、これを体験すれば絶対に感動するという我が家ならではのものがある。
それはサラ・バラスのフラメンコと彼女率いる音楽家たちの演奏だ。

一ヶ月ほど前のことだろうか、バルセロナの街へ買い物に出た時に
街のあちこちにある、広告塔であの人のポスターに出くわしたのだ。
えっ〜!、おっ〜!! サラ・バラスが来る!!!
急いでスマホで写真をとり、その晩あわてて夫に見せた。
そしてすぐにネットでチケットを予約したのであった。

先週末に見に行ってきたのだけれど
始まる前のワクワク、ドキドキ。
この時間がなんとも言えないのだ。
そして、始まってからのサラ・バラスの足のステップ(フラメンコ用語でなんというのかわからないが)に魅了され
自分が動けなくなって緊張してしまうほど。
大きな劇場に、彼女のステップ音だけがひとつひとつ鳴り響くのだ。
このドキドキ感。
大きなスタジアムでサッカー選手が一人、ペナルティキックを一発蹴る。
そのひと蹴りで勝負がつく、その瞬間と同じくらいの緊張感なのだ。
彼女が踊れば情熱的なエネルギーがバンバン発せられて
カラダが元気になる感じ。気持ちが一転してパッと輝くように明るくなれる感じ。
そういうものを観客に与えられる彼女がすごい。
舞台終わりのあいさつで、彼女が何度も手を振るので
思わず私も何度も手を振ってしまった。