お向かいのロサさん

ツバキ。
ふつうは冬から春にかけて咲くもので
だから木の春と書いて椿なのだと思うのだけれど
我が家のはちょっと変わった種類のツバキ。
いつもこの10月下旬から11月中旬あたりに咲いてくれる。
葉っぱが水彩画のように滲んだ模様になっていて、
風が強い我が家のベランダではすぐに花びらが落ちてしまうのが残念なのだけれど
儚くて、それもいい。
スペイン語ではCameliaカメリアという。

我が家のお向かいにすんでいる60代のご夫婦がいて
奥さんは濃いピンク色が大好きで洋服やアクセサリーがその色だったりするのだ。
コロナの時期はマスクもピンク色だった。
町で出会うとHolaオラーという挨拶とともに
私の名前まで大きな声で呼んでくれる。
さらに、お坊さんのように胸のあたりで両手を合わせて
私の方に進んでくるのだ。
これには、いつも困ってしまうのだが、、、
一度、日本人はそいういう風に挨拶はしないのよ。と伝えたのだが
全く覚えていないのか、どうでもいいのか
毎回、手を合わせながら私の前にやってくる。
仮の名前としてだが、ピンクが好きなので彼女の名前をRosaロサとしよう。
スペイン語でピンク色の意味だ。
そう、そのロサさんは町の合唱団の団員で
一年ほど前から日本の歌をその合唱団で歌い始めたというのだ。
朝市があった日にたまたま広場で出会い
胸に手を合わせながらご夫婦でやってきた。
ロサさんが、こういう歌なの、、、と 赤い花〜〜〜〜
と歌ってくれたのだが、聞いたこともないし
彼女の声に気を取られていて
どういう意味かわかる?と聞かれたが
赤い花はわかったけれど詳しく答えられなかったのだ。
それで、週に一度うたの練習をしているのでぜひ一度きてほしいと言われているのだが、
今だに行けてない。
行かなきゃと思っているのだけどね。
そう、そのロサさんは背が少し高めで
ご主人が彼女より背が低くて、がっちりした人なのだ。
そう、このご夫婦を見ていると思い出す人がいる。
その人は小学生からの友達で、Mちゃん。
同じ地区に住んでいたので中学、高校も一緒だった。
Mちゃんは背が高くて、スポーツ万能で
小学生の時からずっと同じ髪型のショートヘアでボーイッシュな子だった。
お互いが社会人になっても
たまに都心へ買い物にいったり、食事したりした。
その当時の彼女の悩みは、彼氏ができないだった。
彼女の彼氏への一番の条件は彼女より背が高い人で
Mちゃんのその条件を満たす人が彼女のまわりには中々いなかったようだ。
それから数年がたって久しぶりに連絡が来たのが
なんと、結婚しますと言う彼女からの電話だった。
結婚式に行って驚いたのは
なんと、あれだけ彼氏条件のナンバーワンに「背が高い人」だったのに
ウェディングドレスのMちゃんより10センチ
いや、15センチほど背が低いタキシードを着たがっちり?ぽっちゃり?した新郎だった。
あの一番の条件をほっぽり投げてでも、
その男性と一緒にいたかったMちゃんの思いが
結婚式の間の彼女の素敵なやさしい笑顔でわかったのだ。
はてさて、今はどうしているだろう。
良い週末を!