漱石の中編小説のこと

夏目漱石の本は好きで今までも色々と読んできた。
十日ほど前から読み始めたのが「二百十日」という短編小説だ。
これが、今まで私が読んだ漱石作品の中では
ちょっと変わった雰囲気で
これから始まるんじゃないの?というところで物語は終わってしまったのだ。
主な登場人物は圭さんと碌(ろく)さんという成人男性で
この二人が火山活動中の阿蘇山へ登山へでかけるというストーリーなのだ。
実は2度読んでしまった。
というのも、先に書いたように続きがあるような終わり方だったから
どこかページを飛ばして読んでしまったのではないか?と思い
再度よんでみたものの、結果的にまた腑に落ちない終わり方だった。
どちらかというとこの物語は落語のようだと感じた。
実にそうなのだ。
ぜひ、これを落語でやってもらいたいものだ。
そのくらい、ちょっとギャグがところどころにはさんであって笑ってしまう場面が多い。
例えば、圭さんと碌さんが登山へ出かける前の宿屋での食事時の話
そこで働く女性に、ビールを注文すると
ビールはないけど恵比寿ならあるというのだ。
その後、二人はそのことを、「ビールじゃない恵比寿」と少しからかい気味に注文をしたりする。
それから、碌さんが半熟卵を注文すると女性はその意味がわからないようだったので
半分煮た卵のことだと説明すると、その後女性が持ってきたものは卵4つで
2つは煮たもの、残りの2つは生卵だったのだ。
いやいや、やっぱりこれ落語っぽいよね。
そして、この二人のことを
読んでいるうちに、ちょっとキャスティングしてしまったのだが
圭さんは堺雅人、碌さんは香川照之
この二人をこの「二百十日」に当てはめて
読みながら映画のように頭の中で動いていくのだ。ぴったり。
ただ、文中にあるように、実は圭さんは西郷隆盛のようなどっしりとした人らしいのだが
私の個人的なイメージではこの役者さん二人がぴったりなのだ。

ぜひ、興味があればこの二人の役者さんをイメージしながら
読んでみてもらいたい。

とにかく、これはどう考えても落語的な物語なのだ。
ちなみに、二百十日とは立春から数えて210日目の9月1日あたりのことで
台風が起こりやすい時期のことをいうらしい。

写真は10日ほど前の我が家から見える山の写真。光がとっても不思議だった。

今、夏目漱石の二百十日のWikipediaを読んでみたのだが、
なんとこれは実体験だそうで、圭さんは漱石自身だそうだ。
やっぱり、私のイメージ堺雅人でぴったりではないか。