なごりおしいぞ、そら豆さん

さやをあけると
ふかふかのベッドで眠っている、そら豆。
こんなところで育つなんて
なんと幸せなことよ。
それに、この風貌をみよ。
ベレー帽をかぶったような感じで、ぷっくりとしたお多福顔がかわいい。
フライパンにオリーブオイルをたっぷりひいて
ちょっと焼き色がつくらい炒めて塩をパラパラっととふって食べるのがおいしい。
このシンプルな食べ方が一番好きだ。
この豆の季節もそろそろ終わり。
そら豆はカタルーニャ語でFavesファバスという。

Favesで思い出すのが
Can Fabesカン・ファバスというミシュランの星を持っていたレストランのことだ。
いや、こちらのファバスはVじゃなくてBでFabes。
このファバスは白いんげん豆の方を言うのだそうだ。知らなかった!
ここからはほぼ10年前の話をはじめる、、、
夫が働く会社の社長が持っている、とても広い敷地内に住んでいた。
それは山の上にあって、結婚式などのイベントができるスペースがあり
眺めがよくて、聖なる森のような場所なのだ。
Can Fabesはそこから車で10分ほどのSant Celoniサン・セローニという町にあった。
そのCan Fabes料理長のSanti Santamariaサンティ・サンタマリアさんが
山の上の敷地内にある場所に来ていた。数人のお客さんと一緒に。
というのも、夫が働く会社の社長とSanti Santamariaさんは親しい知り合いで
彼とそのお客様を食事に招待したのだ。
その時の食事を夫も作っていた。
夫は仕事が終わって帰ってくると、
Santi Santamariaさんが美味しい。と言って食べていたよ。
と嬉しそうに話していた。ただ、顔色がすごく悪そうだったとしきりに言っていたのを覚えている。
その日から、一週間もたたない頃だと思う。
Santi Santamariaさんがシンガポールで病気で亡くなったとニュースが入ってきた。
そう、あの時、彼と一緒に来たお客さんというのがシンガポールの人たちだった。
シンガポールに彼のレストランを作るというプランがあって
彼は山の上での食事の数日後にシンガポールの人たちと現地に行っていたのだ。

Santi Santamariaさんはカタルーニャ人で初めてミシュランの星を獲得した人で
残念ながらもう、Can Fabesもなくなってしまった。

それにしても、それを考えると
私はもう10年以上もバルセロナにいるのだなぁと
遠い記憶、近い過去。
色々たくさん思い出すけれど
それにしてもスペイン語もカタルーニャ語も未だに初級程度しか話せてないことが
情けなく思う、今日この頃。

勉強しなくちゃ。